ハイブリッド勤務が当たり前となった今、分散した環境におけるSaaSアプリケーションの一元的な管理は、IT部門にとって極めて重要な課題となっています。拠点・タイムゾーン・働き方が多様化する中で、無秩序なSaaS運用はセキュリティリスクやコスト増を招く要因となります。
適切なSaaS管理体制を構築することで、セキュリティ体制を強化しつつ、SaaS利用コストを最大30%削減することも可能です。
主なポイント
- 自動検出を含む一元的なSaaS統制により、柔軟な展開と高いセキュリティを両立
- プロビジョニングの標準化により、オンボーディングとアクセス統制を高速化
- 機械学習を活用したクラウドネイティブな管理により、利用傾向を予測しサブスクリプションを最適化
ハイブリッド環境におけるSaaS管理とは
SaaS管理とは、組織全体のクラウドアプリケーションに関する利用状況の把握、コスト管理、ガバナンスの適用を指します。ハイブリッド環境においては、クラウドとオンプレミスの双方に対応する必要があります。
IT部門は、従来のインフラとクラウド間でのアクセス制御、データフロー、システム連携を統合的に管理しなければなりません。そのためには、異なる環境にわたって可視化・制御可能な専用ツールの導入が求められます。
SaaS管理のスケーリングに向けた5つのベストプラクティス
1. 中央集約型の戦略を構築する
- SaaS管理に責任を持つ専任チームまたは担当者を設置
- 全SaaSアプリのインベントリ(所有部門、契約更新日、利用率など)を整備
- 新規導入の評価基準や承認フローを策定し、シャドーITを抑制
- 単一のシステムで全アプリケーションの現況を把握できる体制を構築
2. 部門横断の連携体制を強化する
- IT・財務・各部門責任者によるガバナンス委員会を設置し、月次で運用状況を共有
- セキュリティ・財務・業務視点を統合した評価基準を策定
- ツール使用状況・機能重複の共有を通じて、統合・削減の機会を発見
- 技術戦略を理解したうえでの「協調的な最適化文化」の醸成が鍵
3. 定期監査と最適化の仕組みを整備する
- 四半期ごとの監査により、利用状況・ライセンスの過不足・活用度を可視化
- SaaS管理プラットフォームにより、利用率・ログイン頻度・機能別利用などを自動収集
- 実利用に即したライセンス構成への見直しで15~30%のコスト削減が見込める
- 契約終了の60〜90日前から更新判断を開始し、見直しや移行の余地を確保
評価指標の例:
- ユーザーあたりコスト
- 機能活用率
- 他システムとの連携状況
- 問い合わせ件数
- ユーザー満足度
4. セキュリティとコンプライアンスを強化する
- SaaS提供事業者に対して、SOC 2準拠・暗号化・アクセス制御などの基準を設定
- SSO・MFAの全アプリへの導入により、利便性と安全性を両立
- 自動化された入退社対応により、権限の付与・削除漏れを防止
- GDPRやHIPAA等の監査対応に備えた定期コンプライアンスチェックを実施
リスク評価指標の例:
- 扱うデータの機密性
- 必要なアクセス権限レベル
- コンプライアンス対応状況
- 提供元のセキュリティ体制
- 他システムとの統合の複雑さ
5. 自動化と連携基盤の活用
- APIベースの統合により、複数SaaSのデータやフローを連携
- アカウント発行・ライセンス割当・利用レポート作成などの定型業務を自動化
- 不審なアクセス・ライセンスの使用上限・契約更新のアラートを自動通知
- 全SaaSの主要KPIを集約する統合ダッシュボードを構築し、マネジメント層の判断を支援
ジョーシスによるSaaS管理の高度化支援
プラットフォーム概要
ジョーシスは、ハイブリッド環境に特化したSaaS管理プラットフォームとして、以下の機能を提供しています:
- 分散チームのアプリ管理を統合し、ライセンス利用状況をリアルタイムで可視化
- オンボーディング・オフボーディングの自動化により、運用工数を削減
- SSO連携と厳格なアクセス制御により、セキュリティレベルを維持
- アプリ利用状況の分析により、投資判断とアプリ統合の検討を支援
ハイブリッドチームに有効な主な機能
- 自動プロビジョニング/削除:定義済みのユーザープロファイルに基づき、初日から必要なアプリを自動付与。退職時には自動でアクセスを削除。
- コスト最適化:未使用ライセンスや重複アプリを特定し、年間20~30%のコスト削減が可能。
- SSO統合:単一認証により複数アプリへ安全にアクセス可能。ハイブリッド環境下でも一貫したUXを提供。
- 承認ワークフロー:チームリードによる申請と自動承認ルールの設計により、部門の自律性と統制の両立を実現。
- API接続性:人事システム、IDプロバイダ、業務アプリとの連携により、全体最適な運用体制を構築。
まとめ
ハイブリッドワークが常態化する中、SaaS管理は「コストの適正化」「セキュリティ強化」「業務効率化」を同時に実現する重要な取り組みです。
中央集約による統制と、部門との連携、自動化、定期監査をベースにした管理体制の構築により、IT部門の負担を軽減しつつ全社的な最適化を推進できます。
ジョーシスのようなプラットフォームを活用することで、SaaSのプロビジョニング自動化、ライセンス最適化、セキュリティ強化を一気通貫で実現可能です。