ハイブリッドワークが定着する中で、SaaSアプリケーションのアクセス管理はかつてないほど複雑化しています。従来は単一拠点で完結していた権限設定も、現在では多拠点・多端末・多様な勤務形態を前提とする必要があり、IT部門にとって新たな課題となっています。
クラウドアプリケーションの急増により、ユーザー体験と統制の両立が求められる一方、従来の管理手法では対応が困難になっています。柔軟な働き方に対応しつつ、業務効率とセキュリティを維持するには、環境変化に適応可能なSaaSアクセス管理の仕組みが不可欠です。
主なポイント
- SaaSアクセスの統一管理により、ハイブリッド環境での生産性とユーザー体験を向上
- 権限の一貫運用がセキュリティリスクを大幅に軽減
- データ主導のSaaS管理により、投資最適化と業務効率化を両立
ハイブリッドチームにおけるSaaS管理の主要課題
ハイブリッド環境では、拠点・デバイス・チームが分散しているため、SaaSの統制が難しくなります。以下に代表的な課題を整理します。
SaaSの乱立(SaaSスプロール)
- 部門単位での導入により、IT部門が把握できない未管理アプリが増加
- 利用されていないライセンス、冗長なアプリ、重複機能などがコスト増とリスクの要因に
- 定期的なアプリ棚卸しにより、非活用・未承認・重複アプリを可視化・整理することが重要
※一元管理の導入企業では、平均して30%の可視性向上と25%のセキュリティインシデント削減が報告されています。
コミュニケーションの分断
- リモート勤務により、ITとの連携が希薄化
- 自己解決志向により、未承認アプリの導入やポリシー逸脱が発生しやすくなる
- IT定期通信・ナレッジベース・申請フロー・セキュリティ教育の整備が有効
セキュリティとコンプライアンスの複雑化
- 多拠点・多端末でのアクセスにより、従来のVPNでは保護が不十分
- Zero TrustやIAM(Identity Access Management)の導入が必須に
IAMに求められる機能:
- SaaS全体への多要素認証
- ユーザー行動に基づくリスクスコアの適用
- デバイス状態チェックと条件付きアクセス制御
※GDPRやSOC2などの業界基準準拠がより一層求められています。
コスト管理の複雑化
- 部門単位でのSaaS調達により、ライセンスの重複契約や利用状況の見落としが発生
- 使用頻度が低い社員にもフルライセンスが割り当てられているケースが多い
SaaS費用の約30%が非活用ライセンスに浪費されているとの調査もあります。
有効な対策:
- 調達の集約化
- ライセンス利用率の定期分析
- ベンダー集約によるコスト削減
- BYOD環境下の費用配分ルールの明確化
スケーラブルなSaaS管理のためのベストプラクティス
SaaS環境を成長とともに最適化するには、意図的かつ全社横断的な戦略が必要です。
中央集約型の戦略構築
- アプリ所有者、費用、セキュリティ状況を一元的に管理
- 契約更新や重複アプリの把握が可能に
- 新規アプリ購入や利用申請に関する統一フローを整備
- 入社・退職時のアクセス自動調整によるガバナンス強化
部門連携の強化
- IT・情報セキュリティ・財務・各部門の協働によるポリシー策定
- 役割・権限マトリクスの明確化により透明性と一貫性を確保
- 定期的な関係者会議により影響範囲を共有し、シャドーITを防止
定期監査と最適化
四半期単位でのアプリ棚卸しにより、以下を確認:
- 非アクティブアカウント(60日以上ログインなし)
- 過剰な権限を持つユーザー
- 低利用アプリ/重複機能のツール
- セキュリティ統制の欠落
監査結果に基づき、ライセンスの統合、ベンダーとの条件見直し、アプリの再教育などを実施
セキュリティと準拠体制の強化
- SSOの導入により認証プロセスを統一
- 機密性の高いアプリには多要素認証を適用
- 自動化された準拠監視ツールで法令対応を徹底
- RBAC(役割ベースアクセス制御)により業務範囲に応じたアクセス制御を実施
自動化とシステム連携の活用
- HRシステムと連携した自動プロビジョニング/解除
- API連携による利用状況・構成変更のリアルタイム取得
- セルフサービスによるアプリ申請とアクセス管理の自動化
ジョーシスによるハイブリッドワーク環境のSaaS管理支援
概要
ジョーシスは、SaaS管理を中央集約型で行えるプラットフォームです。Okta、Microsoft Entra ID、AWSなどのID管理サービスと連携し、ユーザー権限を一元管理します。
入社・異動・退職時のアクセス調整を自動化し、SlackやZoomなどの主要アプリへのアクセス設定を最小限の操作で完了できます。
アクティビティのモニタリング機能により、不審なアクセス傾向も早期に検知可能です。
ハイブリッドワークにおける主な機能
- 多要素認証管理:社外ネットワーク利用時のセキュリティ強化
- ライセンス最適化:非活用ライセンスや重複アプリの可視化
- 統合ダッシュボード:
- アプリごとのリアルタイム利用状況
- ユーザー権限の一元表示
- 準拠状況のレポート生成
- 定期的なアクセス棚卸しの自動化
さらに、リスクスコアや端末状況に応じた認証条件を動的に変更する「適応型アクセス制御」も搭載。CASB(Cloud Access Security Broker)との連携により、未承認アプリの利用検知・制御も実現します。
まとめ
ハイブリッドワークが常態化する今、SaaSアクセスと権限管理はIT部門だけの課題ではなく、経営に直結する重要なテーマとなっています。
ジョーシスは、SaaS管理の標準化・自動化・統合を実現することで、セキュリティリスクの軽減、コスト最適化、ユーザー体験の向上を支援します。
- オンボーディングの自動化
- 動的アクセス制御の適用
- 未使用ライセンスの可視化
- セキュリティ統制の徹底
こうした機能により、IT部門は変化の激しい環境でも自信を持って業務を遂行できます。