SaaSツールの活用が進む中で、企業は業務効率化と柔軟なツール選定を実現しつつ、コスト管理・セキュリティ・コンプライアンスを維持することが求められています。本稿では、部門ごとの自律性とIT部門による統制のバランスを保つための管理手法についてご紹介します。

‍

部門によるSaaS選定の利点

各部門が自ら業務に適したSaaSツールを選定・管理することで、以下のような利点が得られます。

• 業務に即したツールの導入による業務効率の向上
  
• ボトルネックの解消による迅速な課題対応
  
• 部門目標と合致したIT環境の構築
  

部門の現場に近い視点から最適なツールを選定することで、より柔軟かつ実効的な業務運用が可能になります。

‍

分散的なSaaS利用におけるIT部門の課題

一方で、各部門が独自にSaaSを導入することで、IT部門には以下のような課題が生じます。

• 可視化されないツール利用（シャドーIT）によるリスクの増大
  
• 部門ごとにデータが分散し、連携性や可用性が低下
  
• 重複契約や未使用ライセンスによるコストの非効率化
  
• セキュリティポリシー逸脱による情報漏えいや法令違反の懸念
  

このようなリスクを抑えるためには、組織全体での統合的なSaaS管理が必要です。

‍

自律性を損なわずに統制を保つための対応策

以下のようなアプローチにより、ITガバナンスを維持しながら部門の柔軟性も確保することが可能です。

• SaaS管理プラットフォームの導入
  　Josysなどのツールを活用することで、利用状況の可視化、ライセンス管理、アクセス制御が可能になります。
  
• 役割ベースのアクセス制御（RBAC）の適用
  　業務に応じた適切なアクセス権を設定することで、情報漏えいや誤操作を防止できます。
  
• 自動化されたワークフローの構築
  　アカウントの発行・削除やライセンス管理を自動化することで、運用の手間とミスを削減できます。

‍

コスト最適化に向けた施策

SaaS管理におけるコストの効率化には、以下のような取り組みが有効です。

• 利用状況の把握と最適化
  　定期的な分析により、未使用または重複するツールの整理が可能です。
  
• 契約条件の集約・交渉
  　全社契約に統一することで、コストの削減や条件改善が見込めます。
  
• 機能の重複排除
  　同一機能を持つツールを精査し、統一することで運用の簡素化が図れます。

‍

セキュリティとコンプライアンスの確保

組織全体での情報保護と規制順守のため、以下のような管理が推奨されます。

• 統一された利用ポリシーの策定と徹底
  　新規導入時のIT承認や多要素認証の義務化など、明確なルールを設けます。
  
• 定期的な監査の実施
  　利用実態や設定状況を確認することで、不正利用やリスクを早期に把握できます。
  
• 入退社時の自動対応
  　アカウントの発行・停止を自動化することで、不要なアクセスを未然に防止します。

‍

結論

部門の自律性とITガバナンスを両立させることで、柔軟な業務運用とセキュリティ・コスト管理の両立が可能になります。SaaS管理プラットフォームの活用やルール整備を通じて、全社的な最適化を推進できます。

Josysは、こうした統合管理を支援する機能を備えており、柔軟性と統制を両立する運用を実現します。