
SaaS管理とは、社内で利用するSaaS(Software as a Service)を可視化し、ライセンス・契約・アカウント・利用状況を一元的に管理する取り組みを指します。「どの部門が何のSaaSを、いくらで、誰の権限で使っているのか」を把握し、コスト・セキュリティ・コンプライアンスの観点から最適な状態に保つことが目的です。
クラウド化とリモートワークの普及により、企業が利用するSaaSの数は急速に増えています。世界には約3万種類以上のSaaSが存在するとされ、1社あたりの利用本数も年々増加しています。その一方で、部門ごとに個別契約が進み「全社でいくつのSaaSを使っているか、情報システム部門も正確に把握できていない」という状況が珍しくありません。SaaS管理は、この分散したSaaS利用を統制し、業務効率化とリスク低減を両立させるための基盤となる取り組みです。
本記事では、SaaS管理の定義と対象範囲から、管理しないことで生じるリスク、SaaS管理でできること、進め方の5ステップ、ツールの選び方までを一気通貫で解説します。従業員数百名規模で情報システム部門を担う方が、自社の現状を整理し次の一手を判断できることを目指した内容です。
SaaS管理とは、企業内で利用されるSaaSアプリケーションの導入・ライセンス管理・契約更新・利用状況の可視化・入退社に伴うアカウント発行と削除(オンボーディング/オフボーディング)といった一連の業務を包括的に管理することです。単なる「アプリの一覧づくり」ではなく、コストの最適化・セキュリティの確保・内部統制への対応までを含む、継続的な運用活動である点が特徴です。
SaaS管理が扱う対象は、大きく次の4領域に整理できます。
特に「複数部門の契約状況を一元管理する」ことは、SaaS管理の中核です。部門ごとに稟議・契約・支払いが分かれていると、全社最適の視点が失われ、機能が重複するSaaSに二重・三重のコストが流れがちだからです。
SaaS市場は拡大を続けており、調査会社の予測では2026年前後にグローバルのSaaS関連支出が3,000億ドル規模に達するとの見方もあります。SaaSは導入の手軽さから現場主導で増えやすく、その結果として管理の網から漏れる利用が積み上がります。管理が追いつかないまま利用だけが拡大すると、以下で述べるようなコスト・セキュリティの問題が顕在化します。だからこそ、利用の拡大と同じ速度で「管理する仕組み」を整えることが求められています。
SaaS管理の必要性は、管理を怠ったときに何が起きるかを見ると理解しやすくなります。情報システム部門が直面しやすい代表的な課題を4つ挙げます。
シャドーITとは、情報システム部門の承認を得ずに各部門・従業員が独自に導入・利用しているSaaSやツールのことです。無料プランやクレジットカード決済で手軽に始められるため、把握されないまま増殖します。未承認SaaSに顧客情報や機密情報が入力されると、情報漏洩やコンプライアンス違反のリスクが高まり、監査ログも取得できないため統制が効きません。
利用状況を把握しないままライセンスを契約し続けると、退職者分・休眠ユーザー分・機能が重複するSaaS分のコストが積み上がります。「契約しているが使われていないライセンス」は、SaaSコスト増大の典型的な原因です。利用実態に基づいてライセンス数を見直し、契約を最適化することが、SaaS管理による直接的なコスト削減効果につながります。
部門ごとにSaaSを契約していると、全社でどのSaaSをいくつ契約しているのかを情報システム部門が把握できなくなります。同じ用途のツールが部門ごとに別々に導入されていたり、担当者の異動でだれも管理していない契約が残っていたりと、統制不全に陥りがちです。契約主体・利用部門・更新日を一元管理することで、全社最適の視点でSaaSを整理できます。
従業員の入社・退社のたびに、複数のSaaSでアカウントを手動で発行・削除するのは大きな負担です。特に退職者のアカウント削除が漏れると、退職後も社内システムにアクセスできる「孤立アカウント」が残り、不正アクセスや情報漏洩の温床になります。オンボーディング/オフボーディングの自動化は、業務効率化とセキュリティの双方に効きます。
SaaS管理ツールは、企業全体のアプリケーション利用状況を可視化し、IT業務の自動化を支援することで、コスト削減・生産性向上・情報セキュリティの強化に寄与します。主な機能とその効果は以下のとおりです。
これらの機能により、企業はSaaSの導入・運用にかかるリスクと工数を大幅に削減し、全体最適なIT環境を構築できます。
関連記事:SaaS可視化とは|利用状況を把握する方法と管理ツール
SaaS管理をゼロから始める場合も、既存の運用を見直す場合も、次の5ステップが基本的な指針になります。前のステップが次のステップの前提となるため、順番に進めることが重要です。
まず全社でどのSaaSが使われているかを洗い出します。名称・利用部門・契約者・ライセンス数・月額コスト・更新日・セキュリティ認証の有無などを一覧化します。手動のスプレッドシートは初期調査には有効ですが、継続的な把握にはSaaS管理ツールによる自動検出が現実的です。
可視化した情報をもとに、使われていないライセンス・重複契約・機能が重なるSaaSを洗い出し、契約を見直します。利用率の低いライセンスの削減や、部門間で分散した契約の統合が、直接的なコスト削減につながります。
入社・異動・退職に伴うアカウントの付与・変更・削除のルールを定め、可能な範囲で自動化します。特に退職者アカウントの削除漏れをなくすことが、セキュリティ上の最優先事項です。
最小権限の原則に基づき、職種・役割に応じてアクセス権を設計・付与します。定期的なアクセス権レビューと監査ログの取得により、内部統制・監査対応の基盤を整えます。
新規SaaS導入の申請・承認フローや利用規程を明文化し、定期的に棚卸しを行う運用サイクルを確立します。SaaS管理は一度整えて終わりではなく、利用状況の変化に合わせて継続的に見直す取り組みです。
関連記事:SaaS管理ツールの選び方|7つの評価ポイントと導入ステップ
SaaS管理ツールを選ぶ際は、自社の課題に照らして次の観点を確認するとよいでしょう。
これらを自社の優先課題(コスト削減か、セキュリティ強化か、工数削減か)と照らし合わせて評価することが、失敗しないツール選定のポイントです。
SaaS管理の課題に対応するためには、信頼性の高いプラットフォームの導入が有効です。ジョーシスのプラットフォームは、SaaS管理・デバイス管理・アクセス権限管理を一元化し、組織全体のIT業務の効率化と透明性の向上を支援します。
ジョーシスのプラットフォームは、350以上のアプリケーションと連携し、SaaSの利用状況を自動で可視化します。入退社に伴うアカウントの発行・削除の自動化や、アクセス権限・監査ログの一元管理により、少人数の情報システム部門でもガバナンスを維持できます。国内外1,000社以上への導入実績があり、IT関連工数を最大50%、ITコストを最大75%削減した事例も報告されています。
SaaSの管理・統制に課題をお持ちの場合は、ジョーシスの活用をぜひご検討ください。ジョーシスの資料をダウンロードすることで、機能や導入効果の詳細をご確認いただけます。
SaaS管理とは、社内で利用するSaaSの可視化・ライセンス・契約・アカウント・アクセス権限を一元的に管理し、コスト最適化・業務効率化・セキュリティ強化を実現する取り組みです。SaaSの利用が現場主導で拡大する現代では、管理を怠るとシャドーITの拡大・ライセンスの無駄・契約状況の把握困難・アカウント管理のリスクといった課題が生じます。
まずは全社のSaaSを棚卸しして現状を可視化することが、すべての出発点です。可視化・コスト最適化・アカウント自動化・アクセス統制・運用ルール整備の5ステップを、自社の優先課題に合わせて進めていくことで、SaaS管理は「属人的な手作業」から「仕組みで担保する運用」へと進化します。
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