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SaaSコスト削減の事例8選|Anker Japanは費用75%削減【2026】

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SaaSのコスト削減に取りかかるとき、最も参考になるのは「他社が実際にいくら減らせたのか」という実例です。削減率だけを並べた記事は多くても、企業名・規模・使ったツール・削減額までそろった事例はあまり見当たりません。

本記事では、実名で公開されている8社のSaaSコスト削減事例を、課題・施策・成果の3点セットで紹介します。そのうえで、事例から逆算した施策の優先順位と、自社で再現するための進め方を整理します。

先に結論をまとめます。

  • 削減額のレンンジ: 年間240万円(従業員400名弱)から年間600万円(リモートスタッフを含め2,000名超)。費用ベースで75%削減した事例もある。
  • 成果が出た企業の共通点: 「全SaaSの可視化 → 未使用・重複ライセンスの削除 → 発行・削除の自動化」という順序を守っている。可視化を飛ばし、削減だけを先に進めた事例はない。
  • 最初の一手: ライセンスの棚卸し。Excelと各SaaSの管理画面だけでも着手でき、実施した翌月から効果が表れる。
  • ツール導入を検討すべき目安: 管理対象が10種類を超えたあたり。手動管理の工数が削減額を圧迫し始める。
  • 削減額を左右する変数: 契約SaaSの種類数 × 1ライセンスあたりの単価 × 未使用率。自社の期待値は、事例に挙げた企業の規模と照らして調整する。

削減額の内訳は「SaaSコスト削減の成功事例8選」、着手順序は「効果が大きい施策ランキング」で詳しく見ていきます。

SaaSコスト削減が急務になっている背景

SaaSの導入が加速する一方、コスト管理が追いつかず「気づいたら費用が膨らんでいた」という声が情シス現場で急増しています。

なぜSaaS費用は「気づかぬうちに」増えるのか

SaaSのコストが静かに膨らむ最大の原因は、可視性の低さにあります。クラウドサービスはクレジットカード1枚で即座に導入できるため、各部門が情シスに申請せず独自に契約するケースが珍しくありません。いわゆる「シャドーIT」です。

退職者が出た際にも問題が顕在化します。人事システムとSaaS管理が連携していなければ、退職者のアカウントがそのまま放置され、毎月ライセンス費用だけが発生し続けます。1人あたり数千円でも、退職が続けば年間数十万円規模の無駄コストになります。

さらに、月払いの積み上げも見落とされやすいコスト増の要因です。「月1万円だから大きくない」と判断されたサービスも、10本積み重なれば月10万円、年120万円になります。加えて、同じ目的のツールが複数部門にまたがって導入されている「重複契約」も、コスト肥大化の典型パターンです。

国内企業のSaaS導入実態(2026年最新データ)

SaaSの増殖は個別企業の課題にとどまりません。国内企業の30.7%が11本以上のSaaSを利用しており、前年比で5ポイント増加しています(出典:国内SaaS導入実態調査)。大企業では100本を超えるSaaSを利用しているケースも珍しくなく、管理コストの観点でも見直しが急務です。

問題は導入本数だけではありません。Gartnerの調査によれば、CIOの9割超がSaaSを有効活用できていないと回答しています(出典:Gartner調査)。さらにProductivの調査では、企業が保有するSaaSライセンスのうち定期的に活用されているのは平均45%のみと報告されており、残りの55%は実質的に費用対効果がほぼゼロの状態です(出典:Productiv調査)。

これは裏を返せば、適切な管理を始めるだけでコストを大幅に圧縮できる余地があるということです。次章では、実際にその余地を掴んだ企業の事例を具体的に見ていきます。

参考:SaaSコスト削減の決定版|Admina

SaaSコスト削減の成功事例8選

削減額・施策内容・使ったツールを整理した8つの事例を紹介します。すべて企業名が公開されている事例で、数値は各社の公開情報に基づいています。自社の規模や課題に近い事例を参考にしてください。

事例①:ヤマハ発動機——ツール統廃合で配信コスト20%削減・作業工数30%減

課題:CDP・メール配信ツールがバラバラで二重管理が発生

ヤマハ発動機では、顧客データ管理に使うCDP(顧客データプラットフォーム)とメール配信ツールが別々に稼働しており、データ連携・メンテナンス・配信設定のたびに二重の作業が発生していました。担当者にとって日常的な作業負担となっており、施策の実行スピードにも影響が出ていました。

施策:CDPとメール配信ツールを一つのプラットフォームに統合

両ツールを統合機能を持つ一元管理プラットフォームに移行。データ連携の手作業をなくし、配信設定から実績管理までを単一システム内で完結させる体制を構築しました。

成果:配信コスト20%削減・作業工数30%減を同時に実現

ツール統合によって、月次の配信コストが20%削減されました。さらに、担当者の作業工数が30%減少し、浮いたリソースを施策立案や分析に充てられるようになっています。コスト削減と生産性向上を同時に実現した好例です。

日経クロストレンドの報道によれば、ヤマハ発動機はこのツール統合により「配信コストを20%下げ、作業工数も30%低下させることに成功した」とされています。浮いたリソースを施策立案や分析に充てられるようになり、コスト削減と生産性向上を同時に実現した好例です。SaaSの本数を絞る「断捨離」がそのままコスト削減につながることを示しています。

事例②:エビリー——SaaS管理ツール導入でアカウント削除業務80%削減

課題:専任情シスの退職でSaaS管理が崩壊寸前に

動画マーケティングSaaSを提供するエビリーでは、専任の情シス担当者が退職したことをきっかけに、SaaS管理業務が深刻な状況に陥りました。退職者のアカウント削除・新入社員への権限付与・ライセンス管理など、属人化していた業務が誰も把握できない状態になったのです。

施策:SaaS管理ツール「dxeco」を導入し管理業務を自動化

エビリーが選択したのは、SaaS管理ツール「dxeco」の導入です。dxecoにより、どの従業員がどのSaaSアカウントを持っているかを自動で一覧化。アカウントの削除作業もシステム上でワンステップで処理できるようになりました。

成果:アカウント削除業務が80%削減、専任不在でも安定運用

最大の成果は、アカウント削除業務の工数が80%削減されたことです。専任の情シス担当者なしでも安定したSaaS運用が実現し、他業務との兼務でも無理なく管理できる体制が整いました。

事例③:エキサイト——約30本のSaaSをSaaS管理ツールで一元管理

課題:2022年頃から急増した30本のSaaSが管理の限界を超えた

ポータルサイトやメディアサービスを展開するエキサイトでは、2022年頃を境にSaaSの導入が急増し、気づけば約30本ものサービスが社内に散在していました。各部門が個別に管理しているため、全体像を把握できる人間がおらず、契約の重複や不要ライセンスの放置が常態化していました。

施策:SaaS管理ツールで全社のSaaSを一元管理

部門をまたいだSaaSの契約情報・利用状況・コストを一か所で確認できるSaaS管理ツールを導入。管理の「見える化」を最優先課題として取り組みました。

成果:工数削減と新規導入スピードの両立に成功

一元管理により、既存SaaSの無駄を素早く特定できるようになっただけでなく、「このカテゴリのツールはすでに入っているか」を即座に確認できるため、新規ツールの導入判断も迅速化しました。コスト抑制と事業のアジリティ向上を両立させた事例です。

参考:情シスのためのITコスト抑制完全ガイド|dxeco

事例④:MerryBiz——Josys導入で年間約600万円削減

課題:SaaSライセンスの全体像が不明で無駄コストが積み上がっていた

バックオフィス支援サービスを提供するメリービズ(MerryBiz)は、正社員53名に対してリモートスタッフを含めると2,000名を超える体制で、公式導入分だけで約20種類、全体では約30種類のSaaSを扱っていました。それを情シス1名で管理しており、どのアカウントが使われていて、どのアカウントが不要になっているか把握できない状況が続いていました。

施策:JosysのSaaS Insights機能でライセンス利用状況を可視化

メリービズが選択したのは、AI駆動型アイデンティティガバナンスプラットフォーム「Josys」の導入です。検知アプリ管理機能とレポート機能により、各SaaSの利用状況とライセンスの割り当て状況を可視化しました。とくに大きかったのは、エンタープライズライセンスとビジネスライセンスの2プランを購入していたものの使い分けができておらず、多くのメンバーに割高なエンタープライズライセンスが割り当たっていた点の発見です。ここを適正なプランへ振り替え、あわせてライセンス数そのものも実利用に合わせて絞り込みました。

成果:年間約600万円のコスト削減を実現

プラン最適化とライセンス数の適正化によって、月間50万円、年間で600万円のコスト削減を実現しています。さらにアラート機能でアカウントの削除漏れを防ぐ仕組みも整い、情シス1名体制でも2,000名超のアカウントを回せる状態になりました。「使っていないライセンスを消す」だけでなく「割高なプランを適正なプランに替える」という視点が、削減額を押し上げた事例です。(出典:メリービズ株式会社のJosys導入事例)

事例⑤:Anker Japan——JosysでITコスト75%削減

課題:急成長に伴うSaaS乱立とIT管理コストの膨張

モバイルバッテリー・充電器ブランドとして知られるAnker Japanでは、事業の急拡大に伴い社員数が増加。それとともにSaaSの種類・アカウント数も急増し、管理が追いつかない状態に陥っていました。シャドーITも多発し、IT管理コスト全体が膨らみ続けていました。

施策:JosysのSaaS Discovery・Access Automation機能を活用

Anker Japanは、JosysのSaaS Discovery機能でシャドーITを含む全SaaSの洗い出しを実施。さらにAccess Automation機能により、入退社・異動時のアカウント発行・削除・権限変更を自動化しました。HR情報との連携により、人事イベントに合わせた自動処理が実現しています。

成果:ITコストを最大75%削減

デバイスの購入からキッティング、アカウント管理までを一つの基盤に載せた結果、アンカー・ジャパンではこれらにかかる費用を75%削減しました。専任2名で担っていた運用が実質1名分の稼働で回るようになり、コンプライアンス監視もアラート機能に任せられる体制になっています。可視化と自動化をセットで導入したことが、削減率の大きさにつながっています。(出典:アンカー・ジャパン株式会社のJosys導入事例)

事例⑥:hacomono——増員をやめて年間240万円のIT運用コスト削減

課題:デバイス発送業務が情シスに集中し、増員を検討する段階に

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会員管理・予約システムを提供する株式会社hacomonoは、従業員数が全体で400名弱。リモートワークが前提の体制のなかで、PCの発送やキッティングといったデバイス関連業務が情シスに集中していました。業務量に人手が追いつかず、アルバイトや業務委託の採用(月額約30万円の予算)を検討する段階に入っていました。

施策:人を増やすのではなく、運用業務そのものを外部に出す

hacomonoが選んだのは、増員ではなく業務の外部化でした。Josysのデバイス台帳機能とメンバー管理画面で資産・アカウントの状況を一元化したうえで、デバイス発送業務をJosysのIT運用アウトソーシング(月額約10万円)へ移管。SaaS側はOktaとの連携でアカウント削除とユーザーライフサイクル管理を回す体制にしています。

成果:月20万円・年間240万円のコスト削減

採用した場合の月額約30万円に対し、外部化後は月額約10万円。差額の月20万円、年間では240万円のコスト削減となり、「年間では240万円のコスト削減をできることが一番の決め手になりました」と語られています。ライセンスを削るのではなく、増える予定だった人件費の発生自体を回避したタイプの削減事例です。(出典:株式会社hacomonoのJosys導入事例)

事例⑦:ファンコミュニケーションズ——重複グループウェアのライセンスを半分に

課題:Google WorkspaceとMicrosoft 365が並行稼働していた

アフィリエイト広告事業を展開する株式会社ファンコミュニケーションズ(従業員201〜500名規模)では、グループウェアとしてGoogle WorkspaceとMicrosoft 365が並行して稼働していました。「本当に全員に両方必要なのか」を判断する材料がなく、重複したまま費用を払い続けている状態でした。

施策:利用ログを見て「本当に両方必要か」を検証

JosysのSaaS棚卸し機能とアクセスレビュー、そして利用ログの確認を組み合わせ、誰がどちらをどれだけ使っているかを実データで把握しました。そのうえで、片方のライセンスを本当に必要な人だけに絞り込む判断を下しています。

成果:不要ライセンスを50%削減

重複していたグループウェアのうち、片方のライセンス数を半分まで絞り込むことができ、特定サービスの不要ライセンスを50%削減しました。重複ツールの統合は現場調整が必要で最も手が付きにくい施策ですが、全廃ではなく「必要な人だけに残す」形で着地させた点が実務的な示唆になります。(出典:株式会社ファンコミュニケーションズのJosys導入事例)

事例⑧:オープンハウスグループ——約7,000名のID管理を12名体制で回す

課題:グループ全体で約7,000名分のID、毎月数十名超の入社

株式会社オープンハウスグループは建設・不動産を主力とするグループ企業で、管理対象は約7,000名分のIDに及びます。毎月数十名を超える入社があり、新卒採用はグループ全体で年800人規模。アカウント削除作業だけでも毎月1〜2時間が固定で取られていました。

施策:ワークフローとAPI連携でアカウント停止を自動化

Josysのワークフロー機能とマルチテナント対応でグループ各社のアカウントを横断管理し、BigQueryとAPI連携によってアカウント停止処理を自動化。デバイス管理とアカウント棚卸しも同じ基盤に載せています。

成果:社員4名+派遣8名の12名体制で7,000名規模を運用

現在はIT部門12名(社員4名+派遣スタッフ8名)で約7,000名分のIDを管理しています。担当者が「『忘れていても大丈夫な状態』こそが理想だったんです」と語るように、削減額よりも「人を増やさずに規模を拡大できる状態」をコストメリットとして捉えている点が、エンタープライズ規模ならではの視点です。(出典:株式会社オープンハウスグループのJosys導入事例)

8事例の削減額・施策一覧

8つの事例を、企業規模・施策・成果の3軸で並べました。自社に近い規模の行から読むと、期待値の見当がつきます。

事例 企業(業種・規模) 主な施策 成果
① ヤマハ発動機(輸送機器) CDPとメール配信ツールの統合 配信コスト20%削減・作業工数30%低下
② エビリー(動画マーケティングSaaS) SaaS管理ツール導入で管理業務を自動化 アカウント削除業務80%削減
③ エキサイト(メディア・約30本のSaaS) 全社SaaSの一元管理 無駄の特定と新規導入判断の迅速化
④ メリービズ(BPO・正社員53名/リモート含め2,000名超) ライセンスプランの使い分けと数量適正化 月50万円・年間600万円削減
⑤ アンカー・ジャパン(小売・卸売) 調達・キッティング・アカウント管理の一元化 費用75%削減
⑥ hacomono(IT・ソフトウェア・400名弱) 増員をIT運用アウトソーシングに置き換え 月20万円・年間240万円削減
⑦ ファンコミュニケーションズ(IT・ソフトウェア・201〜500名) 重複グループウェアの利用ログ検証 不要ライセンス50%削減
⑧ オープンハウスグループ(建設・不動産・約7,000ID) ワークフローとAPI連携で自動化 12名体制で7,000名規模を運用

表を横に見て気づくのは、削減の入り口が3種類しかないことです。使っていないライセンスを消す(④⑦)、重複しているツールを1本に寄せる(①③⑦)、人手で回していた運用を自動化・外部化する(②⑤⑥⑧)。自社がどの入り口に立っているかを見極めることが、事例を再現する最短ルートになります。

Josysの資料を無料でダウンロードする

参考:SaaS管理を最適化して効率とコスト削減を高める方法|Josys

参考:情シスのためのITコスト抑制完全ガイド|dxeco

参考:ヤマハ発動機がSaaSの断捨離でコスト減 ツール増殖を止める3つのルール|日経クロストレンド

参考:Sales Marker(費やしていた業務時間の50%削減)|Josys導入事例

参考:Josys導入事例一覧

SaaSコスト削減で効果が大きい施策ランキング

どの施策から着手すれば最大の効果が得られるのか、難易度・期待成果・着手期間を整理しました。

第1位 未使用ライセンスの棚卸し(即効性最高)

コスト削減施策の中でも、即効性・難易度・投資対効果のバランスが最も優れているのが未使用ライセンスの棚卸しです。

各SaaSの管理画面にログインし、最終ログイン日時・アクセス頻度・アクティビティを確認します。90日以上ログインがないアカウントは「未使用」と判断し、ライセンス解除またはダウングレードを検討します。

削減額目安:月5〜15万円(100名規模) 着手難易度:低(Excelと管理画面のみでも実施可能) 効果が出るまでの期間:1〜2か月

Productivの調査によれば定期的に使われているライセンスは平均45%にすぎないため、約半分のライセンスが棚卸しの候補です。確認作業を自動化したい場合はSaaS管理ツールの活用が効果的です。

事例④メリービズと事例⑦ファンコミュニケーションズは、いずれもこの施策から着手して最初の削減額を確定させています。判定基準の作り方や実際の削り方は、未使用SaaSライセンスの削減方法とコスト最適化ガイドで手順ベースに解説しています。

第2位 退職者アカウントの削除

退職者のアカウントは、コスト面だけでなくセキュリティリスクとしても重大な問題です。情シスが把握していない退職者アカウントが残存していた場合、不正アクセスの起点になる可能性があります。

HR連携が手動の場合、退職後にアカウント削除が漏れるケースが頻発します。特に部門管理のSaaS(マーケ・営業・CS等が個別導入しているもの)は情シスの管理外になりやすく、退職処理が徹底されないことが多いです。

削減額目安:月3〜10万円(退職者10〜30名分) 着手難易度:中(全SaaSの洗い出しが前提) 効果が出るまでの期間:即月から

Access Automationのような機能を持つツールを導入すれば、HR情報との連動で退職時のアカウント削除が自動化できます。

事例②エビリーが80%の工数削減を達成したのも、まさにこの領域です。削除の抜け漏れをなくす具体的な段取りは、退職者アカウントの削除方法で確認できます。

第3位 重複ツールの統合

同一カテゴリのツールが複数部門に重複して導入されているケースは、SaaSが増えた企業では非常によく見られます。たとえば、コミュニケーションツール・タスク管理ツール・ストレージなどでSlackとTeams、AsanaとNotionなどが混在しているケースです。

統合にあたっては利用実態の調査→部門ヒアリング→標準化ツールの決定→移行計画の策定というプロセスが必要です。一度に全統合を進めようとすると現場の反発を招くため、まず新規導入を抑制し、段階的に既存の重複を解消していくアプローチが現実的です。

削減額目安:月2〜5万円(重複ツール2〜3本削減の場合) 着手難易度:高(現場調整・移行期間が必要) 効果が出るまでの期間:3〜6か月

第4位 月次→年次契約への切り替え(10〜20%削減)

SaaSの多くは月次契約と年次契約の両方を提供しており、年次契約に切り替えることで10〜20%のコスト削減が見込めます。月払いを選択している理由が「使うかどうか不確か」であるなら、ある程度使用実績が出たタイミングで年次に切り替えるのが合理的です。

注意点は、年次契約は途中解約時に返金されないケースが多い点です。切り替え前に利用状況・必要性・今後の事業計画を確認し、不要になるリスクがないツールに限定して切り替えを進めることをおすすめします。

削減額目安:月1〜5万円(主要SaaS5〜10本の切り替え) 着手難易度:低(管理画面からの手続きのみ) 効果が出るまでの期間:翌契約更新月から

第5位 SaaS管理ツールの導入による自動化

上記4つの施策を一時的に実施するだけでなく、継続的かつ自動的に管理し続ける仕組みを構築するのがSaaS管理ツールの導入です。

SaaS管理ツールは、利用状況のリアルタイムモニタリング・退職者アカウントの自動削除・シャドーITの検知・コスト分析レポートなどを自動化します。初期投資は発生しますが、工数削減効果とコスト削減効果を合わせると導入費用を大きく上回る場合がほとんどです。

削減額目安:年間120〜360万円(100名規模企業の場合) 着手難易度:中(導入設定・HR連携の初期工数あり) 効果が出るまでの期間:1〜3か月(設定完了後すぐ)

施策別サマリー比較表

施策 月次削減額目安 着手難易度 効果期間
未使用ライセンス棚卸し 5〜15万円 低 1〜2か月
退職者アカウント削除 3〜10万円 中 即月
重複ツール統合 2〜5万円 高 3〜6か月
月次→年次契約切替 1〜5万円 低 翌更新月
SaaS管理ツール導入 10〜30万円 中 1〜3か月

関連記事:SaaS管理ツールの選び方|7つの評価ポイントと導入ステップ

事例から学ぶ——SaaSコスト削減の3ステップ

成功した企業事例に共通する進め方を3ステップに整理しました。自社の取り組みのロードマップとして活用してください。

ステップ1:全SaaSの可視化(棚卸し)

コスト削減の出発点は、必ず「全SaaSの棚卸し」です。削減する前に、削減すべき対象を正確に把握しなければなりません。

棚卸しで確認すべき4つの情報:

  1. 契約しているSaaS一覧:サービス名・契約者・契約開始日・月額費用
  2. ライセンス数と利用者数:契約ライセンス数vs実際にアクティブなユーザー数
  3. 利用頻度データ:最終ログイン日・月間アクセス回数
  4. 契約形態:月次 or 年次・次の更新日

まずExcelでこの4項目を整理することから始めるのが現実的です。規模が大きくなるほど手動管理の限界が来るため、ある程度整理できたらSaaS管理ツールへの移行を検討します。

棚卸しのチェックリストや作業の割り振り方は、SaaS棚卸しのやり方|手順・チェックリスト・ツール完全ガイドにまとめています。

ステップ2:優先度の高い無駄を特定・削除

棚卸しが完了したら、次は「削除・変更すべき対象」の優先順位をつけます。以下の3つの観点でSaaSを評価してください。

削減優先度の評価軸:

  • 利用率:ライセンスの何%が実際に使われているか
  • 代替可能性:他のSaaSで機能を代替できるか
  • 契約更新タイミング:次の更新日まで何か月あるか

利用率50%以下で代替ツールが存在するSaaSは、即座に削減候補となります。特に更新日が近いSaaSを優先的に確認し、更新前に削除・ダウングレードを決断できると無駄な費用を一期分節約できます。

ステップ3:継続的な管理体制の構築

一度の棚卸しで終わらせるのではなく、月次・四半期ごとに繰り返せる仕組みを構築することが重要です。SaaSは時間の経過とともに増殖するため、一度整理しても放置すれば元の状態に戻ります。

継続的管理に含めるべきプロセス:

  • 入社・退社時のアカウント管理フロー(IT部門への連絡ルールを文書化)
  • 新規SaaS導入時の申請プロセス(シャドーIT防止)
  • 四半期ごとのライセンス棚卸しスケジュール
  • 年次契約更新の3か月前アラートルール

これらを手動で回すのか、ツールで自動化するのかは規模感次第です。50名超の企業であれば、SaaS管理ツールの導入による自動化を検討する価値が十分あります。

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SaaSコスト削減を加速させるツール比較7選

管理を自動化・効率化するためのSaaS管理ツールを7つ比較します。自社の規模・要件・予算に合ったツールを選ぶ参考にしてください。

Josys(デバイス・SaaS統合管理)

JosysはAI駆動型アイデンティティガバナンスプラットフォームです。SaaSとデバイスの両方を一元管理できるため、情シスが抱える「人・SaaS・デバイス」の管理課題をまとめて解決できます。

主な機能:

  • SaaS Discovery:シャドーITを含む全SaaSの自動検出
  • SaaS Insights:ライセンス利用状況のリアルタイム可視化
  • Access Automation:HR連携による自動アカウント発行・削除
  • Access Reviews:権限の定期棚卸し・承認ワークフロー
  • Device Management:PC・スマホのライフサイクル管理

実績:

  • 導入企業数:国内外1,000社以上
  • アプリ連携数:350以上(31カテゴリ)
  • IT工数削減:最大50%
  • ITコスト削減:最大75%

本記事で取り上げた事例のうち、アンカー・ジャパン(費用75%削減)、メリービズ(年間600万円削減)、hacomono(年間240万円削減)、ファンコミュニケーションズ(不要ライセンス50%削減)、オープンハウスグループ(約7,000名のIDを12名体制で管理)はいずれもJosysの導入事例です。Sales Marker(費やしていた業務時間の50%削減)を含め、規模・業種の異なる導入実績が公開されています。

こんな企業に向いている: SaaSとデバイスをまとめて管理したい・HR連携で入退社処理を自動化したい・シャドーITが気になっている企業

Admina by Money Forward

Money Forwardが提供するSaaS管理ツールです。国内ベンダーならではのUI・サポート対応で、初めてSaaS管理ツールを導入する企業にも使いやすい設計です。SaaSの利用状況分析・コスト最適化レポートが充実しています。

こんな企業に向いている: Money ForwardのHRや会計ツールをすでに使っている企業・国内サポートを重視する企業

dxeco(エビリー導入実績)

エビリーやエキサイトが実際に導入したSaaS管理ツールです。国内中小〜中堅企業向けに最適化されており、専任情シス不在でも使える直感的なUIが特徴です。シャドーIT検知機能も備えています。

こんな企業に向いている: 専任情シスがいない・少人数でSaaS管理を始めたい企業

HENNGE One

IdPとSaaS管理を組み合わせたセキュリティ重視のプラットフォームです。シングルサインオン(SSO)とアクセス制御に強みがあり、ゼロトラストセキュリティとセットでSaaS管理を強化したい企業向けです。

こんな企業に向いている: セキュリティ要件が厳しい・SSO基盤と一体で管理したい企業

freee IT管理

freeeが提供するIT管理プラットフォームです。人事管理・経費管理など他のfreeeサービスと連携しやすく、バックオフィス全体をfreeeで統一している企業にとって親和性が高いです。

こんな企業に向いている: freeeのHR・会計を使っている中小企業

subkam(サブかん)

サブスクリプション管理に特化したシンプルなツールです。SaaS以外のサブスクサービス(Adobe・各種クラウド)も含めた契約管理・更新アラートに強みがあります。

こんな企業に向いている: まず契約の全体把握とアラート管理から始めたい企業

OPTiM Device & Account Management

OPTiMが提供するデバイスとアカウントの統合管理ツールです。MDM(モバイルデバイス管理)との親和性が高く、デバイス管理を主軸としながらSaaS管理も行いたい企業向けです。

こんな企業に向いている: 既存のOPTiM製品を使っている・デバイス管理が主な課題の企業

ツール選定3つのチェックポイント

SaaS管理ツールを選ぶ際に確認すべきポイントをまとめました。

チェックポイント1:HR連携の深さ 入退社時のアカウント処理を自動化したい場合、HR情報との連携の深さが重要です。双方向同期か一方向か、対応しているHRシステムの種類も確認してください。

チェックポイント2:シャドーIT検知機能の有無 部門独自で導入されたSaaSを自動検出できるかどうかは、コスト削減の精度に直結します。SaaS Discoveryのような機能が含まれているかを確認してください。

チェックポイント3:連携可能なSaaSの数 自社で利用している主要SaaSと連携できるかどうかを確認します。連携数が少ないと手動管理が残り、効率化の効果が限定されます。

ツール比較表

ツール名 HR連携 シャドーIT検知 デバイス管理 価格帯
Josys あり あり(SaaS Discovery) あり 要問合せ
Admina あり あり なし 要問合せ
dxeco あり あり なし 要問合せ
HENNGE One あり(SSO中心) 一部 なし 要問合せ
freee IT管理 あり(freee連携) なし あり 要問合せ
subkam なし なし なし 月額数万円〜
OPTiM DAM あり 一部 あり(MDM) 要問合せ

SaaS削減施策を経営層に提案するポイント

情シス担当者がコスト削減施策を経営層に承認してもらうためには、数値の提示と複合的な価値の訴求が欠かせません。

コスト削減額の試算方法

まず現状の棚卸しデータから、以下の計算式で削減試算を出します。

  • 未使用ライセンス削減額:(対象ライセンス数)×(1ライセンスあたり月額)×(利用率が50%以下のSaaS数)
  • 年次切替削減額:(年間契約費用)×(10〜20%)
  • 重複ツール統合削減額:(廃止するツールの年間費用)

100名規模企業の場合、適切な棚卸しとツール導入を組み合わせれば年間120〜360万円の削減が現実的な目標値です。

試算の説得力を高めたいときは、削減額だけでなく投資回収の見通しまで数字にしておくと決裁が通りやすくなります。計算式の組み立て方はSaaSのROI計算方法|フレームワークと実践ステップを参照してください。事例で示された年間240万円・600万円という金額も、企業規模と契約SaaS数を添えて提示すると、自社の期待値として受け取ってもらいやすくなります。

コスト削減+セキュリティリスク低減で訴求する

経営層が「SaaS管理ツールへの投資」を承認しやすくなるのは、コスト削減だけでなくセキュリティリスクの低減を同時に提示したときです。

退職者アカウントが残存していた場合の不正アクセスリスク・シャドーITによる情報漏洩リスクは、経営層にとってコスト以上にインパクトのある問題です。「コストを削減しながら、セキュリティリスクも同時に下げる」という訴求は、投資対効果を最大化する提案フレームです。

提案に含めるべき5つの要素

  1. 現状のSaaS契約数・合計コスト(把握できている範囲で)
  2. 削減可能なコストの試算(保守的に見積もる)
  3. セキュリティリスクの現状(退職者アカウント数・シャドーIT件数)
  4. 推奨する施策と導入ツールの概要
  5. ROIの見通し(ツール費用対削減効果)

よくある質問(FAQ)

Q: どれくらいの期間でコスト削減効果が出ますか?

A: 施策によって異なります。未使用ライセンスの棚卸しと退職者アカウントの削除であれば、実施した翌月から効果が出ます。SaaS管理ツールの導入は、初期設定(1〜2か月)が完了した後、継続的に効果が積み上がっていきます。100名規模の企業で本格的に取り組んだ場合、初年度で数百万円規模の削減実績が出るケースが多いです。

Q: 事例と同じ削減額が自社でも出ますか?

A: 削減額は「契約しているSaaSの種類数 × 1ライセンスあたり単価 × 未使用率」でおおよそ決まります。本記事の事例でいえば、メリービズは約30種類のSaaSと2,000名超のアカウントという母数があったからこそ年間600万円という金額になり、従業員400名弱のhacomonoは年間240万円でした。まずは自社の「契約SaaSの種類数 × 月額 × 推定未使用率」で概算を出し、事例の企業規模と比べて期待値を調整してください。契約SaaSが10種類未満であれば、金額よりも工数削減や削除漏れの防止を主な効果として見込むほうが実態に近くなります。

Q: 中小企業やスタートアップでも参考になる事例はありますか?

A: あります。事例⑥hacomono(従業員400名弱)や事例④メリービズ(正社員53名)のように、情シスが1名または兼務という体制から削減を実現した事例が公開されています。人数が少ない企業ほど「増員せずに運用を回せるか」が実質的なコスト論点になるため、ライセンス削減額だけでなく人件費の発生回避まで含めて評価すると、投資判断がしやすくなります。

Q: ツール導入なしでも削減できますか?

A: はい、できます。Excelと各SaaSの管理画面を使った棚卸しでも、未使用ライセンスの特定と削除は十分可能です。ただし、管理対象のSaaS本数が10本を超えると手動管理の工数が無視できなくなります。また、退職者アカウントの削除漏れはツール管理なしでは発生しやすいため、規模が大きくなるほどツール導入のROIが高くなります。

Q: シャドーITの契約はどう対処すればいいですか?

A: まず実態を把握することが第一歩です。SaaS管理ツールのシャドーIT検知機能(SaaS Discoveryなど)や、社内のクレジットカード明細・経費申請データの確認から洗い出しができます。発見後は、①業務上必要かどうかを部門に確認、②必要なら正式申請に切り替え、③不要なら解約指示、という流れで対応します。シャドーITを一方的に禁止するだけでは現場の反発を招くため、正式な導入プロセスを整備し利便性を担保することが重要です。

まとめ

SaaSコスト削減の取り組みは、「可視化」から始めるのが鉄則です。何が契約されていて、どれだけ使われているかを把握しなければ、削減対象を特定できません。

本記事で紹介した8つの事例を振り返ると、成功している企業に共通するのは「管理を仕組み化している」点です。ヤマハ発動機はツール統合、エビリーはSaaS管理ツール導入、エキサイトは全社一元管理、メリービズはライセンスプランの適正化、アンカー・ジャパンは調達から管理までの一元化、hacomonoは運用業務の外部化、ファンコミュニケーションズは重複ライセンスの絞り込み、オープンハウスグループは自動化による少人数運用。手段は違っても、いずれも一時的な削減ではなく継続的な管理体制の構築に着地しています。

本記事で紹介した事例を振り返ると、成功している企業に共通するのは「管理を仕組み化している」点です。ヤマハ発動機はツール統合、エビリーはSaaS管理ツール導入、Anker JapanとMerryBizはJosysを活用することで、単なる一時的なコスト削減ではなく、継続的な管理体制を構築することに成功しています。

まず取り組むべきアクション:

  1. 今すぐExcelで「自社が契約しているSaaS一覧」を作る
  2. 各SaaSの最終ログイン日を確認し、3か月以上使われていないアカウントをリストアップする
  3. 削減対象を経営層に提案し、次のアクションの承認を得る
  4. 管理規模に応じてSaaS管理ツールの導入を検討する

100名規模であれば年間120〜360万円の削減が現実的な目です。事例で示された年間240万円・600万円という数字も、出発点は「契約SaaSの一覧をつくる」という同じ一歩でした。まずは棚卸しからスタートし、規模感や課題に応じてSaaS管理ツールの導入を検討してみてください。

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